おいしい料理にプラスαの魔法を。隠れ家レストラン15年目の立役者。

おいしい料理にプラスαの魔法を。隠れ家レストラン15年目の立役者。

【真心のこもった】という意味のイタリア語、コルディアーレ。旬の食材を大切に、真心込めて作った料理と温かいサービスでお客様を笑顔にしたいとの思いからつけられた、青物横丁のお洒落なイタリアン《リストランテ コージ コルディアーレ》。2005年の開業当初からオーナーシェフ中山浩次氏と苦楽を共にしてきたソムリエの戸田保幸さんをご紹介します。

苦手を克服して辿り着いた楽しい接客

▲お客様に喜んでいただきたい!頭の中はそれだけでいっぱい。

大学卒業後から、さまざまな飲食店で働き経験を積んできた戸田さん。飲食業界に入ったルーツは「お酒を飲むのもおいしいものを食べるのも好き!それが仕事になれば」と思ったことからでした。これまでに働いていたのは新宿や六本木にある大型店舗ばかり。同社に入社してからは町場のレストランの接客の仕方に変えていかなければと感じることがよくあったのだといいます。

戸田「飲食のことは全く知らない世界だったので、一番最初のお店ではまずアルバイトとして入りました。その頃からずっとイタリアンで働いてきたけど、それはたまたまですね。

《コージ コルディアーレ》に入社した頃に考えていたのは、ただひたすらにいらっしゃっていただけるお客様にどうやったら楽しんでいただけるか。大きい店舗のマニュアル的な接客とは違うし合わないなって感じて、あまり得意ではなかったんですけど、お客様と話すことを重要視した接客術をひたすら繰り返して慣れていくという感覚でした。『こう話せばお客様に喜んでいただけるかな?こうするとうまくいくかな?』と試行錯誤して、だいぶサービス観は変わったと思います」

同社に入社して変わってきたお客様への接し方。近づきすぎず、かと言って離れすぎず、程良くフレンドリーな距離感で接することを考えているのだそう。それはリピーターの方であろうと初めていらっしゃった方であろうと変わらず、料理やワイン、お店について話すことで会話の糸口を見つけていくのだといいます。

お客様との楽しい接客をする一方、一緒に働くスタッフへの接し方についても良く考えることがあるのだとか。

戸田「働いているのは基本的には慣れている方ばかり。普段はそれぞれのスタイルで接客していますが、すり合わせをしなければいけない所があればすり合わせていきます。ただ、ホールスタッフはアルバイトの方が中心なので、入社したての方にはまず基本的なことだけ教えて、慣れてきたら付け足していくようにしています。

仕事に必要な会話だけするような昔気質のプロに徹するやり方は、引かれるというか、付いていけないと思われてしまうかもしれない。他にも職を持っていてアルバイトで働いている方が多いので、そこに対して厳しくしても…と思うし、厳しくしすぎると結果的に接客しづらくなってお店にとってマイナスになってしまうので、楽しんで仕事ができるようにあんまりガチガチにはしすぎないですね。足りてない分は僕がフォローしていくので」

もっとワインを身近なものに。取っ掛かりを作るワイン会

▲いつかイタリアのワイナリー巡りをしてみたい、と話す。

元々興味を持っていたソムリエの資格を取ったのは入社してからのこと。その資格を活かして定期的に開催しているワイン会では、州によって全く異なる特色のワインを知るきっかけになればと、その都度、さまざまな角度からアプローチをしていきます。とはいえ、ソムリエの試験勉強のようなカッチリとした内容ではなく、あえてカジュアルに、そして参加された方が今後ワインに興味を持つきっかけづくりになればとライトな内容にしています。

戸田「テイスティングしてコメントを書いて…という感じではなくて、州の特徴が分かりやすいワインを用意して、シェフにはその州の伝統的な料理を用意してもらいます。参加された方が『これがこの州のワイン、州の料理。へえ~、機会があったら代表的な観光地以外も行ってみようかな』って思うくらいの取っ掛かりになればなといつも意識しています。

資料は簡潔にキーワードを用意して、本当に興味を持った方はネットで調べて知れるようにしています。今はスマホですぐに調べられるので、資料にすべての内容が組み込まれていて一枚で完結するものというよりは、その州、ワイン、料理をきっかけとして話して繋ぐ、見て学ぶようなイメージ。

ワイン会のリピーターの方はおかげ様で楽しんでいただけています。まずは興味を持ってもらいたいっていつも思ってますね。最近はお酒を飲まない方も増えてきていますけど、『ワインを飲むのは好きだけど詳しくは知らない』とか『よく分からないんで』で終わっちゃうのは寂しいので、最初のハードルを下げられたらいいなって。好きになれば自分から勉強しようってなると思うので、まずはそのラインに持っていくのが重要かな」

ワインをカジュアルに楽しんで欲しい。ソムリエだからとかしこまられたくない。戸田さんは普段からソムリエバッジをつけて働くことがありません。ソムリエだと名乗ることよりも、ソムリエになれるほどのサービスレベルや知識を付けることに価値を感じ、実務に生かせる能力を手に入れたかったのだといいます。「ワインに詳しい方だな」と思っていただけるような距離感でいたいから自分からは名乗らない。リピーターの方の中には知らない方もいらっしゃるかもしれないですね、と笑いました。

戸田「リピーターの方は料理と一緒にワインも毎回飲んでいただく方が多いので、『あのワインどうでしたか?』『こういうワインが好きです』って何度かお話ししていくうちに、その方の好みはこんな感じなんだってわかるので、次の提案ができるようになっていきます。常連さんがお店の中心になるのは、別の意味で楽しいです」

真面目に真摯に。シェフと築いてきた15年。

▲入社15年目、まだまだ成長中!

《コージ コルディアーレ》に来店されるお客様は、都内の名店で腕を磨いてきたシェフの料理を楽しみにされている方ばかり。個人的なお祝いで利用される方が中心です。

戸田「当店ならでは!といえるサービスではないかもしれないですけど、お誕生日や記念日の際にはスタッフみんなでお祝いすることもあります。面白いのが、『今日お祝いなんです』といいながら『何もしないでください』って言われる方が多いこと。HAPPY BIRTHDAYってプレートに書いてお渡しすることはあるんですけど、スマートにその方たちだけで完結できるようにお祝いすることはありますね。

大きな店舗にいた時はマニュアルに則ってお祝いしていたけど、小さなお店で働くようになって見えてきたことが沢山あるので、お客様に合わせた接客を心がけています。マニュアル通り、ルーティーンで終わらない仕事が多いし、毎日全く同じ日がないという点で日々楽しく仕事してますね。楽しむ気持ちは働くモチベーションとしてすごく重要かなって思います」

一期一会の接客をする毎日のなかで、一緒に働くなら食べることと飲むことに興味がある人が向いている、と語ります。

戸田「この世界は下働き。テーブルの上の華やかな世界じゃないことの方が多いので、その状況も楽しめる方がいいですね。意外に食に興味がない方っていますし、価値観なのでそれでうちを利用するかは分からないですけど、働くスタッフはいくら待遇が良かったとしても、興味がなかったらきっと続かないと思います。

僕が15年近く定着しているのは、おかげ様でシェフに信頼していただいているので、『こうしたら面白いだろうな』って意見が意外に通りやすくて、有難く勉強させていただいているからです。店長のような役割をさせていただいているので、経営者目線の考えになることも大きいですね。

電球交換とか掃除とか、お店に関わる全てに携われるのは、いずれお店を持ちたいという思いがある方には求められることだと思うので、町場の小さいお店だと必然的に自分の役割を考えながら仕事ができると思います。僕も機会があれば、自分の持ち味を生かせるようなワインバーができたらな、と独立を考えることもありますし、やりたいって気持ちだけではできないので、 仮にいい物件があったとして、それに合わせて店舗運営していけるだけの経験と技術を積んでる最中ですね」

オープンしたての頃の土台作り、テレビで紹介されたことで繁忙期が続いたときや経営について悩んだとき――中山シェフが悩んだときもずっと陰で支えてきた戸田さん。一言えば、十わかる。そんな信頼関係を築きながらここまできました。「僕がいなくてもいいくらいに成長してくれたらいいな」と語る中山シェフの期待に応えようと、日々さまざまなことを考えて働いています。

大切にしている価値観は、【真面目に、真摯にやること】。片手間の仕事じゃ、中途半端になってしまう。失敗した時には、一歩引いて冷静に。そして核にしているのは、おいしく食べて、楽しんでいただくこと。これだけ長く働いてきていても、まだまだ足りない部分を補いたいと常にハングリー精神に満ち溢れています。

戸田「15年やってても、全然仕事できないなって思う時もあります。自分一人のことじゃなくて、延いてはお店全体やスタッフのこと諸々を考えると、まだまだダメだなって。

シェフは、本当に料理人だなって感じます。これだけ長い付き合いでも、創造の斜め上を行くアイディアが沢山出てくるので、楽しくやらせていただいていますね。発想と、それに伴う技術はまだまだ敵わないので、負けないように頑張んなきゃって思います。だからスキルアップしなきゃな。

今興味があるのは、海外のお客様も増えてきているので語学力を付けることですね。六本木で働いていた時はサービス英語だけ覚えて接客していたんですが、想定している以上の質問がきて答えられないこともあったので、これからそういう場面にあったときに応えられるように習得していきたいです」

四季折々のおいしい料理をお手頃価格で提供する《コージ コルディアーレ》。お客様を魅了する料理のスパイスはシェフのこだわりや戸田さんの真心のこもったサービス。これからも地域に根差したお店を目指し、訪れる方一人ひとりを温かく迎えるお店として愛されていくことでしょう。

Ristorante KOUJI Cordiale:https://kouji-cordiale.com/

(姉妹店) PATISSERIE Les Cinq Epices:https://www.cinq-e.jp/

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