全国に300店舗近く展開する人気ベーカリーショップ《リトルマーメイド》のFC店舗を運営し、「販売」「製造」などの技術を競う大会でも常に上位を独占するなど、高い評価を受けている有限会社プリマール。今回は2019年4月よりリトルマーメイド木場店の店長として働く北田聡さんを紹介します。
「なにかをつくる仕事を」やっと見つけたやりがい
北田さんが飲食業界に足を踏み入れたのは23歳の頃。それまでは金属を取り扱う企業で働き、その後フリーターとしてさまざまなアルバイトをする中で、なにかをつくる仕事がしたいとの思いから成田市の外資系ホテルにて洋菓子の製造補助スタッフのアルバイトとして入社しました。
北田「洋菓子を作ることが楽しくなって、正社員登用されてからは15年近く続けていました。10年くらいはパンの製造も本格的にしていて、パン屋で働きたいなという思いが芽生えて転職を決めました」
転職したパン屋では5年近く勤めあげましたが、小麦アレルギーが発症し、やむなく退職することとなります。
北田「当時働いていたお店は、小麦粉からつくるこだわりを持っていました。直接手で粉を触ることや吸い込むこともあって、症状がひどくなってきてドクターストップ。そのお店を辞めてからはガス屋さんや新聞屋さん、営業なども経験しました。営業はきつかったけど、経験したことのない仕事は新鮮味があって楽しかった！
2年くらい経った頃、小麦アレルギーの症状が和らいできたので、またパン屋さんで働きたいと思って求人情報から応募して入社しました」
入社当時は市川店の製造スタッフとして働き、半年後にはセブンパークアリオ柏店で店長代理として異動しました。
オープニングから携わったセブンパークアリオ柏店
柏店へ配属されてから約1年後、北田さんは店長に昇任されました。オープニングから携わった店舗だけに、木場店に異動した今でも思い入れは強いといいます。
北田「オープニングにイチから関われたのは嬉しかったですね。オープン当初はなかなかうまくいかなかったけど、少しずつ『ここはこうしよう』『ここはこうした方がいいよ』と声掛けをしていっていい店舗づくりができました。
パートさんも積極的な方が多くて、『余ってるパンを試食に回した方が良いんじゃないですか？』と意見を出し合てくれたり、人が足りないときにはもともとお休みなのに出勤してくれたり…コミュニケーションがしっかりと取れている明るいお店でした。人数は他店に比べると少ない店舗だったけど、みんなでお店を回そうという意識で動いてくれていたのを感じていました」
マネジメント職をする上で心がけているのは、同じ目線に立って上からモノを言わないこと。
北田「私がホテルで働いていた時は、入ってくる子がきつくて辞めてしまうからずっと一番下っ端でした。店長という立場だからこそ、一緒に働くメンバーにはそうなってほしくないし、コミュニケーションはしっかり取っていきたいなと思っています」
いつも成長を。社長の姿勢から得た人とへの思いやりと経営学
1カ月のスケジュールは、その日にどんな種類のパンを何個製造するか、といった指令書づくりやシフト作成、製造と接客がメイン。店舗や地域によってはシーズンごとにイベントを開催することもあるのだそう。
北田「春には感謝祭、秋にはハロウィンなど様々なイベントを開催しています。柏店にいた時は地元サッカーチームに関連して、サッカーボールアンパンのお買い上げでドリンク無料とか、最近で言えば 600円以上お買い上げの方に参加券クーポンとして使える応募用紙を配布して【元号当て】イベントを開催しました。社長がいろんなイベントを開催させてくれました」
イベントの開催やマネジメント、スタッフに対する思いなど、今井徹社長には尊敬する部分が沢山あるといいます。
「いつも人として成長してほしい」と言い続けている今井社長は、誰に対しても面倒見がとてもよく、普通なら見放してしまうだろうという方に対しても、絶対に諦めない。本人がちゃんと向き合ってくれるだろうと信じて接するところが尊敬できるのだと語りました。
北田さんがプリマールに入社し、定着している理由にはこうした社長の人間性やもともと持っていた独立志向にあるのだそう。
北田「今までは洋菓子職人、パン職人としてしか働いてこなかったので、いつか独立するために経営やマネジメントに関することを学びたくて入社しました。実際、店長代理になってから全く分からなかった売上や人件費などの数字関係も、会議で社長から教えてもらえているので、今後に生かせることを学べている実感があります」
夢を叶えるか、この先もここで成長するか。
パン職人としてリスタートし、経営も学んできた中でさまざまな夢が広がります。
北田「入社したての頃は絶対独立する！と思っていたけど、その頃ほどはこだわっていないです。独立できなかったとしても、今の仕事でその先がちゃんとあればいいなって思っていて…。
でももし、自分でお店をするならって考えると、洋菓子を作ってきた経験もあるし、パンにこだわらずにカフェに近いお店を開きたい。町になじんでいて、でも、店内で誰かが楽器を演奏していたりとか、ちょっと個性があるようなお店が良いな…と考えています。昔考えたものも含めてレシピはいろんな種類を持ってるので、『独立していいよ』って言われたらしますね。(笑)
ちゃんと売り上げも結果を出してお金持ちになりたい。そう思うとやっぱり独立願望強いのかな？」
こうした想いもある一方、これからプリマールに応募を考えている方伝えたいことも。
北田「本部から新メニューが届くようになっているので失敗はしにくいです。その日の気温や湿度によって生地の状態をみて、生地の温度調整をしています。他のパン屋さんに比べるとレシピがちゃんとあるので覚えやすいんじゃないかな。
みんな個性が強くて、前職もいろんな経験をしてきた人ばかり。他の人の入社理由は分からないけど、自分はパンが好きで入社したからパン好きな人だったら活躍できると思います」
「何かをつくる仕事を」と志した時には見えなかった、独立という夢をかなえる為に、今できること。ひとつの店舗をイチから育て上げ、働きやすい環境を作ってきた経験を新しい環境でも生かす。今ある課題に立ち向かっていく。そうした積み重ねが、いつか大きな自信に変わるだろう。
