母として、保育士として――。さまざまな経験を経て、いつか叶えたい穏やかな保育。

母として、保育士として――。さまざまな経験を経て、いつか叶えたい穏やかな保育。

戦後の混乱が続く昭和22年、「社会の再建は、婦人の手で!」のスローガンのもと設立された社会福祉法人 横浜婦人クラブ愛児園。昭和・平成・令和と、刻々と移り行く時代の中でも未来を担う子供たちに希望を託し、今現在も歴史を刻んでいます。同法人は【誠の心を大切にし、子どもの可能性を育みます。】の理念のもと、ひたすら純粋に、子どもたちの可能性を信じて向き合ってきました。そんな同法人の横浜ナーサリーで働くワーキングマザーの保育士、長島さんにご自身の経験を生かした保育観をお話ししていただきました。

就職活動で重視した、絶対条件をかなえる保育園

▲条件に合った保育園に出会い、たくさんの希望を胸に入職しました。

現在、入職12年目を迎え、さまざまなライフイベントを経て、子育てをしながら働く長島さん。保育士を目指したのはある出来事がきっかけでした。

長島「私が9歳くらいの頃にいとこが生まれて、抱っこしたり遊んだりとお世話をしていたことがきっかけで、将来は『子どもと一緒に過ごす仕事に就きたい』と考えるようになりました。看護師や栄養士などに憧れた時期もあったのですが、向いてないなと感じる出来事や人と接する仕事がしたいという思いがあって、保育士の資格を取得できる学校に入学しました」

就職活動の時期になり、就職先を選ぶ際に重視したのは安定性。長く保育士として活躍していきたいと期待するなかで、働きやすさや経営が安定していることは絶対条件でした。

そんなときに出会った、横浜ナーサリー。長い歴史を持ち、3世代が卒園児の世帯もあるほど地域に密着した保育園という安定性と、残業や持ち帰り仕事が少なく有給休暇取得率100%、産休・育休後に復帰する職員が多く在職していることに、働きやすさやワークライフバランスの良さを感じ、入職後のビジョンに期待を持ったのだといいます。

長島「横浜ナーサリーに見学に来た際に、職員のみなさんが生き生きと働いている姿が印象的でした。働いているのは経験豊富な方から同世代の方と幅も広く、若いうちにたくさんの先輩からさまざまな保育観を学んでおきたいという思いもありました。職員数が多く、複数担任制で手厚い保育ができる大規模な保育園であることと、広々とした園庭があり、子どもたちを伸び伸びと育てていける保育園であることも、入職を考えた決め手です。

家族も『いい就職先が決まったね』と喜んでくれましたし、仕事と同じくらいプライベートも大切にしたいと考えていたので、残業の少なさや休みの取りやすさなどといったオンオフの切り替えのしやすさと、将来結婚して子供ができても仕事復帰して続けられそうだなと期待もしていました」

1年目の壁と忘れられない瞬間

▲法人の理事長を兼務する石橋英夫園長も職員の子育てを応援しています。

入職1年目は3歳児のクラスを担任しました。初めて経験することの連続で、たくさんのことを吸収しようと、がむしゃらに過ごしていた頃を振り返ります。

長島「理想像としていた保育士の仕事と、実際に働いてみて感じる大変さのギャップはありました。そのなかでも印象に残っている出来事があって…。

入職したての頃は、まだ若くて子どもとの信頼関係をどう作っていけばいいか戸惑うこともありました。いま思えば、人見知りをする子だったのかなと気づけるのですが、お友達や持ちあがりの職員とはお話しもたくさんしているけど、慣れていない私には距離を感じる男の子がいたんです。

お話ししたいな、距離を縮めたいなと、さまざまな接し方を試しながら、自分なりに歩み寄れるように毎日考えていましたね。その男の子が、ある日のお昼寝の時間に私のところへ来て、『せんせい、とんとんして』って言ってくれて…――私の思いがちゃんと届いてたんだなって嬉しさと感動とで、今でもそれが忘れられない瞬間です」

保育園は保護者が家にいられない時間に子どもたちを預かる場所。お母さんやお父さんにはなれないけれど、出来る限りの愛情を注ぎながら、集団のなかでしかできない経験を沢山感じさせたい。保育園に行くことが楽しみになる場所にしたいという思いを長島さんはずっと持ち続けています。

母になり、変わってきた価値観

▲複数担任制で分担しやすく、経験豊富な職員がたくさん。

同法人で働く職員のなかで子育て経験のある方は半数以上。現役のワーキングマザーも全体の3割ほど在職しています。長島さんも2歳児を育てる立場から働きやすさを感じる瞬間がよくあるのだそう。

長島「子どもの急な発熱や通院させておきたい日なども相談しやすい環境で、有給休暇・半日休・早退などで不在にするときは、他の職員が融通を利かせてくれて補ってもらっています。他にも子どもがいて働いている職員がいるので、“お互い様”の考えのもとで、お互いに支え合いながら勤務が変わる際の相談をしています。

一番頼もしいのは子育てを終了されているベテランの職員です。子育てしながら働く悩みも、ご自身の経験を踏まえてアドバイスやサポートしてくださるので、頼もしくてありがたいですね」

子どもたちは一緒に過ごす保育士の雰囲気を察し、良くも悪くもその影響をダイレクトに受けます。だからこそ、横浜ナーサリーでは【楽しい職場こそ、最良の保育!】と考え、職員同士が信頼し合い、常に楽しく仕事が続けられる環境を整備しています。

また、育児を経験するなかで、長島さんの保育への向き合い方が変わってきました。

長島「同じ意味の言葉でも、声のかけ方ひとつで受ける印象が違うなって感じることが多くなりました。例えば、お部屋を走り回っている子がいた時に『お部屋では走りません!』って否定的な言葉を使うのと、『お部屋を歩こうね!』ってポジティブな言葉に変換するのではだいぶ印象が違うな、と。

ちょっとした声かけの違いでも『こんな言葉、自分の子どもが言われてたら嫌だな』と感じるようになってから、ネガティブな言葉を使わないように意識するようになりました。正直な話、子どもを産むまではそんな風に思えなかったので、否定的な言葉で伝えてしまっていた頃の子どもたちには、申し訳なかったなと自分が恥ずかしくて反省しました」

子どもを産むまでは「なんで時間が守れないんだろう」「なんでこの子は寝る時間が遅いんだろう」と感じていたことも、当事者になってみて「きっとお母さんたちもいっぱいいっぱいで悩んでいるんだろう」と共感できたことで、保育士目線と母親目線の考え方を合わせて考えることができるようになったのだそう。

長島「今担当しているクラスは、自分の子どもより1学年下。【イヤイヤ期】の子どもを見ると、自分が『イヤイヤ』とされていた頃を思い出して、正解はないけれど、対応の引き出しは増えたなと思います。そういう時期なんだと温かい目で見れるようになりました」

12年目を迎えて、視野が広がった保育観

▲それぞれの個性が光る保育観。その中で確立した、穏やかさという考え方。

保育士として、母として、広い視野で子どもたちに向き合い過ごしてきた12年。その年月のなかで確立された、長島さんが目指す保育観があります。

長島「目指しているのは、子どもたち一人ひとりにしっかりと向き合い、穏やかで楽しい時間の中で信頼関係を築き、大人になるために必要なステップを踏ませてあげる【穏やかな保育】です。

子どもたちが話を聞いてくれない時であっても、大きな声を張り上げたり、大きなジェスチャーで注意を引くのではなく、同じ目線で話しながら穏やかにこちらの気持ちを伝えられるようになりたい。しかも、それが自然に行える保育士になれたらとても素敵だなと思います。同じことを伝えるにしても、子どもによって個性があるので、一人ひとりに合ったコミュニケーションを工夫して、少しずつ保育の幅を広げていきたいです」

さまざまな保育観を持つ他の職員たちの姿に、自分らしい保育の形を見い出し、たくさんの愛情をもって子どもたちに接する一方で、後輩への指導にも気遣いが垣間見えます。

長島「最近は後輩が増えてきて、今まで教えてもらうことの多かった私も、当番のやり方や準備物などを教える機会が増えてきました。その時に意識しているのは、実際に自分で経験してマニュアル通りに進まなかったときのことや、失敗したときのことを伝えるなど、マニュアルから派生する動き方も一緒に伝えることです。

覚えることは沢山あって大変だけど、入職したばかりの職員の働きやすさに繋がればいいなと考えるようになって、視野が広がってきたことを年々感じています」

制作物や日々の保育のなかでも、自然とお互いに声を掛け合って、業務分担できる環境が当たり前に流れる毎日。新しく入職される方にも、自身と同じように長く楽しく働ければと語りました。

長島「一緒に働いている職員は、責任感が強くてなんでも挑戦してみようと意欲のある、自分の保育観を持っている方がたくさんいます。園長先生は職員たちの提案や思いを汲み取ってくださるので、新しいことにも応援していただけています。やりたいことがあって、それを実現したい方は活躍しやすいんじゃないかな。

私自身は、子育ての経験を活かしながら、子どもだけでなく保護者の気持ちにも寄り添える、気持ちの分かる保育士をこれからも目指していきたいです」

横浜ナーサリー:https://yfc-aijien.com/nursery/index.html

社会福祉法人 横浜婦人クラブ愛児園:https://yfc-aijien.com/index.html

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