文字書き、算数、英会話などの教育をカリキュラムで取り入れた保育園を運営する株式会社秀学会。【幼児教育こそが未来の社会を創る】の思いのもと、一人ひとりの個性を大切に、学ぶ楽しさを感じさせることで子どもたちの芽を伸ばす、未来の活躍にまで目を向けた保育を行っています。同法人で働く保育士の新井瑞季さんに子どもたちの成長や働きやすさ、価値観の変化などをお聞きしました。
衝撃を受けた教育中心のカリキュラム
中学生の頃に、ふと、湧き出した「子どもに関わる仕事がしたい」という思いから高校卒業の進路に保育士資格が取得できる4年制大学を選択した新井さん。リーマンショックの影響から、氷河期と言われる時代に就職という壁にぶつかりました。
新井「4年制の大学に通っていたので、保育士になる以外の選択肢も当然沢山ありました。ただ、私たちの時代は【氷河期】と呼ばれていて、一般企業の募集は極端に少なく、反対に保育園の募集の方が多くありました。保育園の募集時期が4年生の9月~12月がピークだったこともあり、一般企業への就職は難しいな、と感じて保育士になる意思が固まりました」
学生時時代の保育実習やボランティアで見てきた、さまざまな方針の保育園があるなかでも、教育に力を入れている同法人には、入社後も驚くことばかり。
新井「学生の頃には実際に子どもたちと触れ合う機会が沢山あって、自由遊びが中心で裸足で中と外を行き来できるような保育園や、運動に力を入れている保育園など、さまざまな保育方針がありましたが、こんなに教育に力を入れている保育園ってなかなかないですし、1日の流れが時間で細かく区切られていることに最初は驚きました。
他の園では1日のなかで具体的に学ぶ内容が決まっていることはあまりなかったので、時間割で教科が決まっていたり、給食の時間には英語・中国語・フランス語などの教材が流れていたり、小学生低学年レベルの読み書きや算数をしていることに驚きと子どもたちの可能性を感じましたね」
また、子どもたちに伝えるのは勉強だけでなく、日本の伝統文化にも触れてほしいとの理事長の意向から、ハロウィンやクリスマスといった海外発信のイベント以外にも、七五三や七草がゆ作り、鏡開きなどの日本古来の行事の由来や何のためにその行事があるのかなども伝えているのだといいます。
新井「保育のイベントという視点で見ると、クリスマス・ハロウィンのような王道の行事以外にも毎月何かしら行事があるので、何もすることがない月はないですね。毎年同じ行事・同じ日の開催なので、これまでの企画のデータを有効活用してアレンジを加えていきます。年数を重ねるごとに行事にも慣れていくイメージですね。
働きやすさという点では、複数担任制で早番・中番・遅番のシフトもあり、イベントやカリキュラムには全部を一人で担当することがないことがメリットだと思います。新卒や未経験で入社したとしても、いきなり担任を任せられることはないので、サポートから仕事に慣れていき【チームで動く】ことを感じられると思います。連絡帳以外の保護者宛の資料はオンラインで送ることができるので空き時間に作業できたり、作成中のものを遅い出勤時間の先生に引き継いだりしていますよ」
子どもたちの学びへの吸収力に感じられる嬉しさ。
同法人では、子どもたちが2歳児から文字や外国語などに自然に触れあうことができ、学ぶことに対して抵抗を無くすように目指しています。カリキュラムは年間のスケジュールに組み込まれ、月間、週間、一日と細分化する中で、その期間にどのくらい子供たちに成長してほしいかという目標を立て、先生たちで担当を割り振っています。教育に特化した保育園だからこそ、子どもたちの成長はとても著しく感じるのだそう。
新井「秀学会グループの子どもたちは文字を書けるようになるのがすごく早いので、ちゃんとした文章でお手紙を書いてくれるんです。4、5歳児さんは年に何回かお手紙ブームが来るんですけど、先生やお父さん・お母さん、お友達に渡している姿をよく見かけますよ。
面白いなと思ったのは、以前に地図がすごく好きな子がいて、元々保育園にあった日本地図のパズルをあげたり、小学生が授業でやるような白地図を渡したら全部漢字で書けるようになったり…。そういう瞬間を見ていると、この園ならではの子どもたちの成長が感じられますね」
小学生になった子どもたちが、妹や弟のお迎えにお母さんと一緒に来てくれた際には、『保育園で習った漢字を小学校で今やってるよ』と声を掛けてくれたり、『勉強がすごく得意なんだね』と小学校の先生に褒められたと聞くと、卒園後も役に立っていることを知れて嬉しいのだと微笑みました。
新井「卒園した子とはあんまり会う機会はなくなってしまうんですけど、園の大きな行事や妹・弟のお迎えについてきたときに小学校での話を聞くのは、他の先生にもやりがいになっているんじゃないかな。
久々に会っても「みずき先生!」と呼び止めて話を聞かせてくれる時はやっぱり嬉しいですね」
経験を重ねて変わってきた価値観。
現在、新井さんが働いている新所沢駅前保育園は0歳から5歳までが揃った異年齢のクラス。同じ活動をするにしても、全員が同時にできることがない中で、最初は苦労することもありました。
フォローの必要さを感じつつも、子どもたちの発達状況に合わせて、どの程度までを自分でさせることができるかの判断ができるようになってきたことにやりがいを感じられるようになったのだといいます。
新井「就職先を考えた時に『こういう保育方針のところで働きたい』という考えはなく、どちらかというと『その保育園のカラーに合わせていこう』と考えるタイプだったので、10年経っても基本的な保育に対する考えは変わることはないです。ただ、入社した頃に比べると、その子の発達状況に合わせようとか、興味のある部分を伸ばそうという視点になったので、その部分では保育士としての価値観は変わったかなと思います」
入社を考えている方に向けては、保育方針が決まっている保育園ということもあり、教育に抵抗がなく、子どもが学ぶ姿に喜びを感じる方、文字を書けたり話せた時に「すごいね」「よかったね」と褒められる方なら長く活躍できると語りました。100%、園の保育方針と同じ考えでなくていい。そこに合わせられる考えのある方なら、働く中での喜びを見い出していけることでしょう。
入社してからこれまでを振り返り、語ったこれからの夢は――。
新井「入社1年目の頃は、その子がどんなことに興味があって、どれぐらいできるから次はもっと上のレベルの課題をやらせてみよう、などと考えてあげる余裕がなかったので、余裕がないことにも気づけないことが申し訳なかったなと、今、振り返って思います。
その反省点やこれまで経験してきたことで、子どもたちに合わせられて、みんな毎日楽しく登園することができて、卒園するときには何か得意なことを身に付けて小学校で楽しく過ごせるような、一連の流れの中で協力していける保育士になることが今の私の目標です」
【保育園】と【教育】が掛け合わさることで、子どもたちの世界や可能性が大きく広がることを知っている新井さんは変化を止めない。いい意味で「何色にも染まる」新井さんの柔軟な考え方。その時その時の経験や喜びや反省を吸収して、自身が求める理想の保育士像を更新し続けていきます。
株式会社秀学会:https://shugakukai.co.jp/
新所沢駅前保育園:https://shugakukai.co.jp/tokorozawa/