何色にも染まっていないパティスリー。大切な人との時間に花を添えるケーキづくりと意識改革

何色にも染まっていないパティスリー。大切な人との時間に花を添えるケーキづくりと意識改革

店名でもあるレ・サンク・エピスはフランス語で【5つのスパイス】という意味を持ちます。良質な素材・職人の情熱・あたたかい接客・心地よい雰囲気・お客様の笑顔――この5つのスパイスでお客様の心をつかむ《パティスリー レ・サンク・エピス》。さまざまなプチガトーや焼き菓子、アントルメが並び、地域の方に愛されるお店をさらに良くしていこうと考える、入社2年目のシェフパティシエ 十河英之さんにお話しをお聞きしました。

高校時代の決心は夢への第一歩

▲1年かけてお店全体のことが見えてきました。

高校生の頃、十河さんはこの先どんな進路に進むべきか悩んでいました。パティシエになりたいという思いから専門学校に行くか否か。そんな時、実際に働く現場ではどんなことをしているのか知りたくなり、地元札幌のホテルの門を叩きました。

十河「誰もが思うことだと思うんですけど、専門学校に行かなきゃパティシエにはなれないだろうなって感じていました。僕が学校に入るかどうか悩んでいるときに、ホテルの製菓科に探りを入れるつもりでアルバイトで入ったのがパティシエ人生の始まりです。

製菓長に言われたのが『専門学校に行ってお金を払って勉強するのと、お金をもらいながら勉強するのとどっちがいいんだ』という言葉で、『お金をもらいながら勉強したいです』と二つ返事で返しました。実際、その方が仰られた通りで、学校で1~2回チョコレートを触ったからといって完璧にテンパリングができるのかっていうとそうじゃないですよね。

もちろん学校で習う大切なことは沢山あるんですけど、実際に働きながら勉強したことに後悔はしていないです」

地方のパティスリーは東京を目指す。東京のパティスリーは世界を目指す。日本のパティシエが世界大会で優勝することも珍しくないこの業界にいて、十河さんはフランスに行くよりも東京で勉強したいと思い上京を決意しました。

上京したのは今から10年以上前のこと。初めは吉祥寺のパティスリー、その次は横浜のパティスリー、その後レストランの製菓担当を経て、同社に入社しました。

十河「入社前はフレンチレストランで働いていました。そこでのメインの業務はレストランのコースで出すデザートですね。デザートとプティフール、あとはバースデーや記念日などのお祝いで来店される方のケーキや披露宴用のウエディングケーキも作っていました。その他には併設していたカフェでプチガトーや生菓子を作っていました。

そこからレ・サンク・エピスに転職しようと決めたのは、たまたま前任のシェフと知り合いだったことと、惹かれたというよりは、もっといいお店になるんじゃないかなって可能性を感じたから。僕が入る前にも3名ほどシェフがいらっしゃったんですけど、入社した時に、いい意味でどの色にも染まってないなって。僕の色に染めるって意味ではなくて、方向性が決まったお店に入って、そのお店の決まったお菓子を作るんじゃなくて、スタッフやオーナーと相談しながら手探りながらも試行錯誤していけるのかなって期待がありました。あとは、タイミングですね」

1年かけて少しずつ変えてきて、今も発展途上中。1年のイベントや流れ、旬な食材、この地域のお客様がどんなことを求めているのかわかるようになってきました。

奇をてらわず、期待を超えるお菓子を

▲店内にはプチガトーや焼き菓子、アントルメが並びます。

十河さんの一日は、朝10時の開店に間に合うように生菓子や予約の商品を仕上げてショーケースに並べることから始まります。ショーケースに並ぶ色とりどりのお菓子は、どれも十河さんの自信作。価格帯や大きさなども含め、この1年間で少しずつ学んだことを取り入れたお菓子には十河さんのこだわりが伺えます。

十河「レストランだとコースになっているので、お店側が食べていただきたいものを提供して『おいしい』って言っていただけるんですけど、パティスリーはお客様がご覧になって、『おいしそう』とか『食べたい』って思う組み合わせやデザインの印象が第一条件だと思います。

目標はあまり奇をてらわず、でも、お客様の期待を超えるようなお菓子。これくらいの味かなって思って買ったら、予想したよりもおいしかったって思っていただくところを常に目指したいですね。なかなか難しいですけど(笑)」

このお店に入ってから嬉しかったのは、そうして作ったお菓子たちを手に取るお客様の姿が見えること。これをやりがいに感じています。

十河「お客様が喜んでくれるのが1番ですね。以前働いていたパティスリーは厨房が2階でしたし、レストランのときも厨房の中にいるので、たまに『ありがとうございます』って直接伝えてくださる方もいらっしゃいましたが、基本的にお客様はテーブルについていらっしゃって、食べた瞬間に『おいしい』って喜んでくださっている姿を僕たちが見ることはできません。

今このお店になって、こちら側からお客様の反応が見れるし、お客様からもこちら側が見れるのはいいなって思います。アレルギーのお客様や食材を指定されたケーキ、会社の記念日やウエディング用の大きなケーキなど、特別なご注文や実際に作る側じゃないとわからないことがあれば、表に出てお客様と直接お話しすることもありますよ。なるべくそのお客様の頭に思い描いているものに近づけたいなって思っています」

代表の期待を背負い、目指すはキラキラしたお店づくり

▲代表とは月に1度は飲みに行く間柄。仕事のこともプライベートのことも話します。

《レ・サンク・エピス》を運営している株式会社コージコルディアーレ代表の中山浩次シェフは、十河さんの仕事に対する姿勢に「シェフになって1年の流れが見えるようになってきた。信用してるし、もっとコミュニケーションを取って考え方を共有していきたい。ワンランク上のレベルを目指してほしい」と期待しています。

働くスタッフと接する際はたくさん会話することを意識し、コミュニケーションを取ることで自然に報・連・相ができるようにしているそう。働く意識がまわりまわってお客様に影響することを十河さんは知っています。

十河「このお店に入って急に変わった意識ではないですけど、道具や機材を自分でお金を出して買っていないので、乱暴に使っているつもりはないと思うけど、そういう使い方してたらいずれ壊れちゃうんだろうなって感じることが多いんですよ。僕もこの仕事を始めた時に言われてから意識してきたんですけど、責任者って立場になって尚のこと気を付けるようになりましたね。

扉の開け閉めとか、物をドンって置いた時にひび割れてしまわないかどうかとか、その作業自体には影響がなくても、いずれ商品に影響が出てしまうかもしれない。常に思っていてスタッフに言っているのは、 後輩は先輩に気を遣わなきゃいけないし、先輩は後輩に気を遣わなきゃいけないし、作ってる商品に気を遣って、使ってる道具に気を遣って、お客様に気を遣って…。 気を遣うっていうのはこの仕事だけじゃないと思うんですけど最終的にはお客様の笑顔に繋がってくっていうのは考えますね」

誕生日や記念日は1年に何度もあることではありません。パティスリーでお菓子を買う目的は、大切な人との大切な時間に花を添えるようなものがほしいから。大切な人が喜んでいる姿を見たいから。そんな大切な瞬間に選んでいただけるお菓子を提供していると感じながら作業に当たれるような、大袈裟に言えば【意識改革】といえるものをスタッフには伝えていきたいと語りました。

十河「まだ試すことは沢山あるし、もっと美味しいものを提供していきたいという思いもあるんですけど、漠然とキラキラしたお店にしたいなって思い描いているものはあります。

インスタ映えみたいなキラキラ感ではなくて…極端に言うとテーマパークのような、その場にいるだけでワクワクして何度でも訪れたくなるようなお店にしたいですね。この辺って家族でお子様連れのお客様が多くて。なので家族連れのお客様が入りやすいお店にしたいな。

内装は前のままなので、オーナーやスタッフと相談して変えていけたらいいなと思ってます。いつかフランスに行くことがあれば、道具屋さんやアンティークの雰囲気を見て取り入れられたらいいな、なんて。何年後かに来たら変わってるかもしれないですね(笑)」

3年後、5年後の夢は沢山のお客様に来ていただいて、今の人数ではさばききれないくらいの人気店にして、もっと沢山のまだ見ぬスタッフと出会えること。クリスマスなどの繁忙期も一緒に乗り越えて、お菓子作りを楽しめるお店にしていきたいと語りました。

この1年間で得た経験はこれからのお店作りをする上で大切な宝物。どの色にも染まっていないこのパティスリーが、お客様にとって、そしてスタッフにとってもキラキラした色になるときを今から心待ちにしている。

PATISSERIE Les Cinq Epices:https://www.cinq-e.jp/

(姉妹店)Ristorante KOUJI Cordiale:https://kouji-cordiale.com/

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